
「慰謝料」という単語は、離婚を考える時に皆さん調べる単語でしょう。
「離婚をすることになれば、どんな理由から離婚に至ることになったであろうと慰謝料は請求できるもの。」と勘違いしている人もいるようですが、その考え方は間違っています。
離婚の理由のアンケートを行った場合、必ずトップ5に入っているであろう、性格の不一致や価値観の違いなどの場合、どちらか一方だけに問題がある、発生する離婚理由ではないため、慰謝料の請求はできません。
離婚時に発生する慰謝料とは、相手の浮気や暴力など有責行為によってうけた、精神的苦痛に対する損害賠償です。この慰謝料というものは、離婚した後いつまでもさかのぼって請求できるものではありません。先に述べたように、精神的苦痛に対する損害賠償が慰謝料請求なので、民法724条に定められている「損害賠償請求権の時効は3年」にあてはまります。
慰謝料の請求は、有責配偶者や浮気相手にただ伝えればいいと思っている人もいます。しかし離婚の際に慰謝料を要求しても満額払ってもらえる人は少ないという事をご存知でしょうか。
慰謝料を支払うべき相手が、慰謝料の支払いを拒否、または無視することも少なくないそうです。
拒否や無視をする理由には、高額な慰謝料を払うだけの収入が無いなどの理由から、再婚したため慰謝料の支払いが難しいといったものまで様々です。
残念なことに確実に慰謝料を払ってもらう方法はありません。裁判所からの命令があったとしても、財産を隠していたら、把握できていない資産にまで効果は及びません。
そのため、慰謝料を請求する際は、離婚の前に相手の個人資産や隠し資産などがないか確認をしておく必要があります。
夫婦なら、夫や妻が個人名義(妻なら旧姓)の預金口座通帳を持っていないか、不動産や有価証券を所有していないかなどを調べておく必要があるでしょう。
慰謝料を請求する相手が浮気相手の場合、浮気相手といっても相手は他人で、他人の資産を調査するのは違法行為になる可能性があるため、支払い能力があるかを判断するため、どのような職に就いているのか、勤め先の情報を集めて、収入がどれぐらいあるのか予想するしか方法がありません。
このように、慰謝料を請求するといっても、相手に金額を伝えさえすればいいわけではありません。
慰謝料の請求は慎重に、相手の事を調べてから、支払い可能なギリギリの金額を見極めるのも大事なのだと思います。